1.熱中症は「誰にでも起こる」身近な危険
夏のスポーツ現場で毎年問題となるのが「熱中症」。
「若いから大丈夫」「水分補給してるから平気」と油断していませんか?
実は熱中症は、体力のある若者や鍛えたアスリートでも発症する恐れのある、命に関わる健康障害です。
特に高温多湿な日本の夏では、練習中や大会中に救急搬送されるケースが後を絶ちません。
厚生労働省によると、2023年の夏季(5〜9月)の熱中症による救急搬送者数は71,029人にのぼり、うち15歳〜30代の若年層が全体の約3割を占めています(※厚生労働省・消防庁「熱中症による救急搬送状況」より)。
つまり、スポーツに関わるすべての人が、正しい知識と早期発見の力を身につけておく必要があるのです。

2.危険信号ー熱中症の代表的な症状とは?
熱中症は、初期段階から重篤な状態まで4つのステージに分類されます。環境省の「熱中症環境保健マニュアル(2022年版)」を参考に、以下に主な症状を紹介します。
◆ 軽度(I度:現場で対応可能)
- めまい・立ちくらみ
- 顔のほてり
- 筋肉のこむら返り(足がつる)
- 大量の汗
▶ サイン:やたら水を飲みたがる、落ち着きがない、軽くぼーっとしている

◆ 中等度(II度:病院への搬送が必要)
- 頭痛、吐き気、嘔吐
- 倦怠感、虚脱感
- 意識がぼんやりする
- 判断力の低下
▶ サイン:呼びかけに対する反応が遅い、まっすぐ歩けない、繰り返し水を吐く

◆ 重度(III度:生命の危険)
- 意識障害
- けいれん
- 高体温(40℃以上)
- 呼吸困難・ショック状態
▶ サイン:自力で水が飲めない、話しかけても反応がない、皮膚が熱く乾いている

3.熱中症になりやすい状況と、見逃しがちなサイン
熱中症の発症リスクを高める条件は以下の通りです。
◆ 環境的要因
- 気温30℃以上、湿度70%以上
- 風が弱く、日差しが強い
- アスファルトの照り返し(地表温度が体感温度を上げる)
▶ 環境省の「暑さ指数(WBGT)」を活用しましょう。WBGTが28℃を超えると、激しい運動は中止推奨とされています。
屋外競技の場合は天気予報をチェックして環境の把握をしましょう。可能であれば気温が低い時間帯に練習時間や活動場所を調整しましょう。
◆ 個人的要因
- 睡眠不足
- 食事・水分補給が不十分
- 前日にお酒を飲んでいた
- 風邪や軽い脱水症状がある状態
練習前の行動にも熱中症を引き起こしやすくする原因が含まれている可能性があります。選手の生活環境、習慣をヒアリングで確認しましょう。
◆ 行動的サインを見逃すな!
- ユニフォームを脱ごうとする
- 自分から日陰に行こうとする
- 頻繁にしゃがむ・座り込む
- チームメイトの話に反応しない
スポーツ指導者や保護者は、**「いつもと様子が違う」**という些細な変化を察知する感覚が命を救います。ダラダラしてやる気がないのではなく、その行動はもしかしたら熱中症による反応の可能性を疑いましょう。
4.現場でできる応急処置と予防の基本
万が一熱中症が発症してしまった場合、現場でできる応急処置を知っておきましょう。その場での対応が選手の命を救います。
◆ 応急処置の基本ステップ(I〜II度)
- 涼しい場所へ移動
- 衣服をゆるめて体を冷やす(首、脇、股関節など)
- スポーツドリンクで水分補給(自力で飲める場合)
- 意識がなければすぐに救急車を呼ぶ(119)

◆ 予防の3原則
熱中症を未然に防ぐために、水分補給や環境整備、メニューの構成は細心の注意を払いましょう。活動中の声かけや状況確認は指導者の重要な役割の一つです。
- こまめな水分・塩分補給(20〜30分おき)
- 休憩時間の確保と暑さ指数の確認
- 体調チェックと無理をさせない指導

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6.まとめ──「無理をさせない」指導が命を守る
熱中症は決して「根性」や「気合」で乗り越えられるものではありません。
ほんの少しの油断や見逃しが、選手の命を脅かすことにもつながります。
指導者は選手の異変にいち早く気づき、保護者は日常の体調に目を配ること。
選手自身も「自分の体に正直になる」ことが、熱中症を防ぐ第一歩です。
暑さと共に戦う夏、
安全と健康を守る知識と準備を万全にして、充実したスポーツライフを送りましょう!
✅ 参考資料・エビデンス
- 厚生労働省「熱中症予防情報サイト」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/index.html - 環境省「熱中症予防情報サイト」
https://www.wbgt.env.go.jp
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