元アスリートが教える、体重の落とし方

体づくり

〜女性と中高生が健康的に取り組むために〜


「体重を落としたい」「もっと体を引き締めたい」――これは大人の女性だけでなく、運動部で頑張る中学生や高校生にとっても共通の悩みです。
しかし世の中にあふれる「○○を食べるだけダイエット」「糖質を完全に抜けば痩せる」といった方法は、一時的には体重が落ちても、健康を損ねたりリバウンドにつながったりする危険があります。

私は元アスリートとして、試合のたびに2〜3ヶ月ごとに減量期を経験してきました。1ヶ月で4〜5kgを落とすことも珍しくなく、そのために食事・運動・生活習慣を徹底的に管理していました。そんな生活を10年近く続けてきました。

この経験と栄養学的な知識から学んだのは、
「食べない」より「筋肉を増やして基礎代謝を高める」方が、健康的で無理なく続けられるということです。
これは美容を意識する女性にも、競技力を高めたい中高生にも当てはまります。


体重管理の基本はシンプルです。
摂取カロリー < 消費カロリー

しかし、ただ食事量を減らすだけでは筋肉まで減ってしまい、基礎代謝が下がってしまいます。すると「痩せにくく太りやすい体質」になるのです。

特に成長期の中高生は、極端な食事制限をすると身長や骨の発育にも悪影響を与えます。美容目的の女性も、肌荒れや体調不良の原因になりかねません。

だからこそ大切なのは――

  1. 筋肉を維持・増加させる(基礎代謝を上げることで消費カロリーを高める)
  2. 栄養バランスを整える(タンパク質・食物繊維・ビタミン・ミネラル)
  3. 運動で消費カロリーを増やす

この3つのポイントを意識することで、「痩せる」だけでなく「元気で強い体」をつくることができます。


現役時代の私は、試合のたびに減量をしていました。

減量期の食事

  • 炭水化物は控えめに(ゼロにはしない)
    練習や勉強のエネルギー源なので、完全に抜かず、白米より玄米やオートミールに置き換えて調整しました。
    よく「炭水化物はカット」と聞きますが、完全にカットしてしまうと、ガソリンがないと車が走らないのと同じで、人体も活動力を失います。なので、完全にカットするのではなく、量を少なくしましょう。
  • 低カロリー高タンパクを重視
    鶏胸肉・魚・卵・豆腐・ヨーグルトなどを中心に、筋肉を守る工夫をしました。
    タンパク質は筋肉や体の組織を作るのに必要です。タンパク質を摂らないで減量すると、必要な筋肉まで失ってしまいます。
  • 野菜や果物で栄養補給
    代謝や疲労回復に欠かせないビタミン・ミネラルをしっかり摂りました。
    野菜から取れる栄養分はアスリート以前に、健康に生きていく上で重要です。体調を崩してしまったら、減量やダイエットどころではありません。
  • 水分補給を意識
    代謝の促進や疲労回復に大切。スポーツドリンクや水をこまめに摂りました。
    水分は摂った分体重増加しますが、体を循環して排出されます。人体には水分は極めて重要ですので、水分補給は削るべきではありません。

減量後も体重維持を意識

シーズンが終わっても暴飲暴食はせず、急激なリバウンドを防ぐために節制しました。
これは中高生にも重要で、試合後に食べすぎると次の練習に響くのと同じです。
一定期間限定で追い込んで減量を行う人もいますが、急激な減量は内臓への負担が懸念されます。
毎日の食習慣を管理して、自分の適正な体重から大きく離れないように調整することが大事だと考えます。


ここからは、今日から始められる「具体的な体重の落とし方」を紹介します。難しいことは必要ありません。筋肉をつけ、正しい食事を心がけ、適度に体を動かす――この3つを習慣にするだけで、体は少しずつ変わっていきます。


① 筋肉を増やすトレーニング

体重を落としたいと考えたときに、最初に食事制限を思い浮かべる人は多いですが、実は「筋肉を増やすこと」がとても重要です。筋肉は体の中でたくさんエネルギーを消費してくれるため、筋肉量が増えると「基礎代謝」が上がり、何もしなくても消費カロリーが増えていきます。

女性向け

女性の場合、「ムキムキになるのが怖い」と思うかもしれませんが、心配はいりません。女性はホルモンの関係で、ボディビルダーのような体になることは基本的にありません。むしろ、ヒップアップや二の腕の引き締めを狙ったトレーニングをすると、洋服が似合うバランスの良い体型に近づきます。
初心者でも始めやすいのは以下のような自重トレーニングです。

  • スクワット(お尻と太ももを引き締める)
  • ヒップリフト(お尻の形を整える)
  • 膝つき腕立て(無理なく二の腕を引き締める)

中高生向け

中学生・高校生は、成長期に筋肉と骨が一緒に発達する大切な時期です。この時期に自重トレーニングを取り入れると、体が強くなり、部活動でのパフォーマンスアップにもつながります。特におすすめは以下の通りです。

  • スクワット(全身の筋力アップ+ジャンプ力向上)
  • 腕立て伏せ(胸・腕・体幹を鍛える)
  • プランク(体幹を安定させ、ケガ防止にも効果的)

「10回×2セット」など少ない回数から始めてもOKです。大切なのは正しいフォームで続けることです。


② 食事管理

食事は「量を減らすこと」よりも「何を食べるか」を意識する方が効果的です。特に中高生は成長期なので、必要な栄養をきちんと摂りながら、体を無理なく絞っていくことが大切です。

主食

白米も悪くはありませんが、食べすぎると血糖値が急上昇して脂肪がつきやすくなります。そこでおすすめは「玄米」や「オートミール」。消化に時間がかかるため腹持ちが良く、少ない量でも満足感が得られます。

主菜

筋肉を守る・増やすためには、タンパク質が欠かせません。鶏胸肉、魚、卵、豆腐、納豆などは低脂質で高タンパク。忙しいときはプロテインを使うのも良い方法です。

副菜

野菜やきのこ、海藻類は食物繊維やビタミン・ミネラルが豊富で、代謝を助けたり腸内環境を整えたりしてくれます。彩りのある副菜を用意すると、栄養バランスも良くなります。

間食

お菓子やジュースをゼロにするのは大変ですが、置き換える工夫をすると続けやすいです。例えば、ナッツ類(食べすぎ注意)、ヨーグルト、高カカオチョコなどは適度に楽しみながら栄養補給ができます。

特に中高生は「食べない」ことが危険です。無理な制限は成長を妨げるので、しっかり食べながら体重をコントロールしましょう。


③ 有酸素運動

筋トレと食事に加えて取り入れると効果的なのが有酸素運動です。脂肪を燃やすだけでなく、心肺機能を高め、ストレス解消にもつながります。

女性向け

ウォーキングやジョギング、ヨガなどがおすすめです。特にウォーキングは体への負担が少なく、初心者でも続けやすい運動です。ヨガは柔軟性を高めながら代謝を促し、リラックス効果もあるので、美容やメンタル面にも良い影響があります。

中高生向け

部活動で運動量が多い人はそれだけで十分な場合もありますが、プラスアルファでジョギングや縄跳びを取り入れると持久力アップにつながります。試合終盤でも動けるスタミナをつけるには、とても有効なトレーニングです。

ポイントは「無理のない範囲で続ける」こと。いきなり毎日30分走る必要はなく、10分のウォーキングや縄跳び100回など、小さな習慣から始めてみましょう。


こうして「筋トレ」「食事管理」「有酸素運動」をバランス良く取り入れることで、体重を落とすだけでなく、体のラインが整い、体力もついていきます。女性にとっては美しく健康的な体型づくりに、中高生にとっては競技力アップやケガ予防につながる、大切な土台になるのです。


便利なアイテムを取り入れると、女性も中高生も続けやすくなります。

プロテイン

オートミール

トレーニングバンド

体組成計

ヨガマット


体重を落とすことは、数字を減らすだけの作業ではありません。
大切なのは「その先にどんな自分になりたいのか」という目的です。

女性にとっては、美容や健康、着たい服を自信を持って着られる体型をつくること。
中学生・高校生にとっては、競技力を高め、成長期に必要な体を守りながらベストパフォーマンスを出すこと。

どちらにも共通して言えるのは、食べないことではなく、正しく食べて、正しく動くことが最も効率的だということです。

短期間で無理に体重を落とす方法は、リバウンドや体調不良のリスクを高めてしまいます。
しかし、筋肉量を増やして基礎代謝を高める習慣を身につければ、自然と「太りにくく、引き締まった体」に近づいていきます。

そして、その習慣は一度身につけてしまえば一生の財産になります。
私自身、競技を離れた今でも、減量期で培った食習慣や運動習慣が役立っており、「体重が急に増えすぎない」「体型をコントロールできる」ことを実感しています。

女性のみなさんへ
体重管理は「美しくなるための我慢」ではなく、「未来の自分を大切にする選択」です。
体を絞ることで、見た目も気分も変わり、自信を持てるようになります。

中学生・高校生のみなさんへ
まだ成長期の今は、無理な食事制限ではなく「競技に強い体」「疲れにくい体」を目指すことが大切です。正しく体を作れば、試合でのパフォーマンスもアップし、ケガを防ぐことにもつながります。

「痩せる」ことをゴールにせず、「健康的で強く、美しい自分をつくる」ことをゴールにする。
これこそが、元アスリートとして私が一番伝えたいメッセージです。

今日からできる小さな一歩――
・夜ご飯の主食をオートミールに置き換えてみる
・ 寝る前にプランクを30秒だけやってみる
・ 水をもう1杯多く飲む

そんな習慣の積み重ねが、必ず大きな変化につながります。
焦らず、楽しみながら「一生ものの体づくり」を始めてみましょう。

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