夏の減量で失敗しないために!正しい水分補給と安全な体重管理法

体づくり

夏は汗を大量にかくため、体重を落としやすい時期でもあります。しかし「水分を取ると体重が増える」と誤解し、補給を怠ってしまうと、脱水症状や熱中症といった命に関わるリスクが生じます。

本記事では、全国大会出場常連の部活監督が、実体験を交えながら「夏の正しい減量方法」と「水分補給の重要性」について徹底解説します。

競技者やダイエット中の方、部活動で体づくりに励む学生たちにとって、夏を安全に乗り切るための実践的なアドバイスが詰まっています。体重を落としたい一方で、健康も守りたい——そんなあなたに必読の内容です。


夏は汗をかきやすく、冬よりも減量がしやすいと感じる人が多いでしょう。たしかに、体内の水分が抜けることで体重は一時的に大きく落ちます。しかし、これは「本当の減量」ではありません。むしろ、油断していると熱中症や脱水症状、最悪の場合は命に関わるトラブルに繋がります。

筆者自身、現役時代には6〜8キロの減量を短期間で行っていました。特に真夏の試合前は、ロードワークやサウナスーツでの発汗を頼りに、体重を一気に落とすことも。その結果、試合中に足がつる、パフォーマンスが落ちる、集中力が続かないなどの支障が頻発。減量は成功しても、競技力が下がってしまっては本末転倒です。


「夏は体重が落ちやすい」と聞いたことがある人は多いと思います。実際に、暑い中で運動をすると大量の汗をかき、その分体重も減ります。しかし、それはあくまで水分が一時的に減っただけで、脂肪が燃焼したわけではありません。つまりただ「脱水状態」となっているだけです。

● 汗をかくとどれくらい体重が減るのか?

例えば、気温30℃以上の屋外で1時間ほど運動をすると、平均で1〜2リットルの汗をかくとされています。これは体重にして約1〜2kgの減少にあたります。体重が減ったように感じますが、これは水分が出ていっただけ。水を飲めばすぐに戻る数字です。

● 減った水分=危険信号かもしれない

体内の水分が減ると、血液がドロドロになり、体内の温度調節もうまくいかなくなります。その結果、熱中症や脱水症状、けいれん、意識障害といった深刻な症状が出るリスクが高まります。

アメリカスポーツ医学会(ACSM)の調査によれば、体重の2%以上の水分が失われると、運動能力が著しく低下することが分かっています。たとえば体重60kgの人なら、たった1.2kgの水分損失で集中力や筋力、持久力が落ちてしまうのです。

● 熱中症のリスクは部活動世代に集中

総務省のデータでは、熱中症による救急搬送の多くが10代、特に中高生に集中していることが明らかになっています。体重を落とすため夏の炎天下でのロードワークを取り入れたり、あえて室内を換気せず熱気のこもった中で練習をしたり、意識的に水分を控えて減量しようとする選手が少なくありません。しかし、その判断が命に関わる危険な行為であることを、まずは理解しましょう。


減量をしている人の中には、「水を飲むと体重が増えるから」といって、水分補給を我慢する人がいます。これは非常に危険な思い込みです。実際には、正しく水分を取ることで体の代謝がスムーズになり、結果的に脂肪も燃えやすくなります。

● 「水を飲むと太る」はウソ?

たしかに、水を飲めばその分体重は一時的に増えます。しかしそれは脂肪ではなく体内の水分が増えただけのこと。水分を取らずに減った体重は「痩せた」のではなく、「脱水」している状態です。

しかも、水分不足のまま運動を続けると、体はストレス状態に陥り、筋肉の分解が進んでしまいます。筋肉が落ちると基礎代謝も下がり、長期的には「太りやすく痩せにくい体質」になってしまうという悪循環に。

● 水だけでは足りない?電解質が鍵!

汗をかくと、水分だけでなくナトリウム、カリウム、マグネシウムといった電解質も失われます。これらの成分は、筋肉の動きや神経の働きを支える大切な栄養素。水だけを大量に飲んでしまうと、電解質のバランスが崩れ、「低ナトリウム血症」と呼ばれる状態に。症状としては、頭痛、吐き気、めまい、けいれんなどが現れ、重症化すると命の危険もあります。

だからこそ、水分補給には「質」も大切。水に加え、スポーツドリンクや経口補水液(OS-1など)で電解質を補うことが重要です。

● 夏は汗で減った体重に一喜一憂しない

朝と夜、練習の前後など、タイミングによって体重は大きく変化します。これは水分量の違いによるもので、脂肪が減ったわけではありません。日々の体重管理では、短期的な数値の変化よりも、1週間単位の推移を見て判断しましょう。


夏に体重を落としたいなら、ただ「汗をかく」「食べない」だけではダメです。むしろ、計画的かつ安全な方法で減量することが、最終的な成果やパフォーマンス向上につながります。ここでは、初心者でも実践しやすい5つのポイントを紹介します。

① 減量スケジュールを立てよう

まずは無理のない目標を設定しましょう。1週間に体重の1〜2%までの減少が理想です。例えば60kgの人なら、1週間に0.6〜1.2kgまでの減量を目安に。試合の1週間前にいきなり始めるのではなく、3〜4週間前からコツコツと取り組むことが成功のカギです。

② 水分補給は「量」と「タイミング」が命

水分補給は「喉が渇いた」と思ったときでは遅いのです。以下のタイミングで意識して水分を取るようにしましょう:

  • 練習の30〜60分前に500ml
  • 練習中は20分ごとに150〜200ml
  • 練習後は、失った体重×1.5倍の水分(例:2kg減なら3L)

このとき、単なる水ではなく、ナトリウム入りのドリンクや経口補水液を取り入れると、吸収率も高まり、安全性が高まります。

③ 朝ごはんを食べて代謝を上げる

減量中でも、朝食は絶対に抜いてはいけません。朝食を取らないと、体はエネルギー不足と判断し、省エネモードに。これにより脂肪が燃えにくくなるうえ、昼食のドカ食いを招きやすくなります。

簡単で栄養価の高い朝食の例

  • ゆで卵+バナナ+牛乳
  • 納豆ごはん+みそ汁+果物
  • ヨーグルト+プロテイン+全粒パン

④ 高タンパク&低脂質を意識した食事

減量中でも、筋肉を守るためにはタンパク質の摂取が欠かせません。鶏むね肉、豆腐、魚、卵、プロテインなどをしっかり取り入れましょう。

また、体の調子を整えるために、ビタミンやミネラルも必要です。野菜や果物(特にバナナ、トマト、キウイなど)は、夏場の栄養補給にぴったりです。

⑤ 涼しい時間帯を選んで運動する

炎天下での運動は、熱中症のリスクが非常に高くなります。運動する時間を選ぶだけで体への負担は大きく変わります。おすすめは、

  • 早朝(6〜9時)
  • 夕方(17〜19時)

もしどうしても日中に運動する場合は、帽子、日陰、ネッククーラー、冷却スプレーなどを活用し、少しでも体温を下げる工夫をしましょう。


以下は、夏の減量を安全・快適に進めるためのAmazonおすすめ商品です。

【経口補水液】大塚製薬 OS-1(500ml×24本)

脱水症状の予防・対策に。高温下での練習後に最適。

【スポーツドリンク粉末】明治 ザバス アクアホエイプロテイン100 グレープフルーツ味

水に溶かすだけで手軽にプロテイン&電解質補給が可能。

【冷却グッズ】ネッククーラーEvo(サンコー)

首元から体温を下げる最新冷却グッズ。屋外練習や大会会場に。


夏の減量は、一見簡単に見えて、非常に繊細なバランスの上に成り立っています。水分補給を怠ると、命に関わるリスクを伴います。大切なのは、体重の数字だけにこだわらず、「安全」「健康」「パフォーマンス」の三要素をトータルで考えることです。

現役時代の失敗も踏まえて言えるのは、「飲まない減量に成功はない」ということ。水を飲みながら、栄養を取りながら、そして賢く汗をかく——そんな本質的な体重管理が、真のアスリートの道だと信じています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました