子どもと関わる仕事をしていると、「あれ、この子はちょっと不思議な反応をするな」「やけにこだわりが強いな」「集中力が続かないみたいだな」と感じることがあります。
昨今、「発達障害」や「グレーゾーン」という言葉を耳にする機会が増えてきました。実際に、発達の特性を持った子どもたちは年々増えており、私たち支援者や指導者が出会う場面も多くなっています。
そうした子どもたちと日々接する中で、「自分にはまだまだ知らないことが多い」と気づかされることがたくさんありました。
もっと理解したい。もっと力になりたい。―その思いから、私は「児童発達支援士」の資格を取得することを決意しました。
この記事では、私の体験を交えながら、児童発達支援士とはどんな資格なのか、どう学び、どんな変化があったのかをお伝えします。
1・なぜ「児童発達支援士」に興味を持ったのか?
スポーツ指導や教育の現場で、発達障害やグレーゾーンの子どもたちと関わる機会が増えています。私自身、長年スポーツ指導に携わる中で、保護者の方から「うちの子は発達障害の診断を受けています」と打ち明けられたことがありました。
その子に対して、他の子どもと同じような声かけや指導が通用せず、「どうすれば伝わるのだろう」「どんな接し方がいいのだろう」と日々悩んでいました。

何をしても伝わらない日々が続くと、少しずつその子から心が離れていく。そんな事を思いながら、このままではいけない、分からないと嘆くのではなく、ここで一つ勉強してみることにしました。
そんなときに出会ったのが、「児童発達支援士」という民間資格です。発達障害や学習障害を持つ子どもたちの特性を理解し、適切な支援ができるようになるこの資格は、私にとって大きな転機となりました。
2・データが示す発達障害の現状と支援の必要性
文部科学省の調査(2022年)によると、小中学生のうち通常学級に在籍する児童生徒の約8.8%が発達障害の可能性があると報告されています。
特にADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)、学習障害(LD)などは、見た目ではわかりにくいため、「ちょっと変わった子」「わがままな子」と誤解されやすいのが実情です。
こうした子どもたちには、特性に応じたアプローチや環境調整が不可欠です。しかし、現場ではその知識を持つ大人がまだまだ足りていません。
中には自分の思いが伝わらない子どもにはひどい対応をしてしまう指導者も今まで見てきたことが沢山ありました。
また、チームメイト間での人間関係が拗れてしまったり、場合によっては都合のいいように使われたりと、その子にとって不利益が生じる場合もあります。
児童発達支援士のような資格を持つことで、「なぜこの子にはこの方法が合うのか」「どう接すれば自信を引き出せるのか」が理論と実践で学べるため、支援の質が大きく変わります。
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3・児童発達支援士で学べる内容とは?
児童発達支援士の講座では、発達障害の基礎知識から具体的な支援方法までを網羅的に学ぶことができます。
3−1・主な学習内容
- 発達障害(ADHD、ASD、LDなど)の特性と行動の傾向
- 子どもとの信頼関係の築き方
- 環境調整と視覚支援、声かけの工夫
- しつけやトレーニング方法
- グレーゾーンの子どもへの配慮と支援
- 社会から求められるもの
専門的な心理学の知識だけでなく、現場で使える実践的なスキルを身につけることができるのが大きな特徴です。
実際に学習を進めていく中で、「これまでの自分の関わり方が間違っていたかもしれない」と気づかされる場面が多くありました。自分の指導を見直し、子どもにとって心地よい関わり方を選べるようになったことで、関係性も大きく変わりました。
3−2・学習期間
私は毎朝起床時間を1時間早め、早朝に1時間程度勉強するようにしました。休日など時間を多めに取れる日は、2時間〜3時間など集中して勉強しました。
そんな日々の学習時間を継続し、およそ1ヶ月半で学習範囲の全ての範囲を学ぶことができました。
それから試験対策のため、1週間程度復習をし、最終的に2ヶ月弱で資格取得に至りました。
以上より、学習難易度は高くなく、地道に積み上げていけば十分に内容を理解することができ、資格取得が可能です。
4・どこで資格が取れる?おすすめの取得方法
「児童発達支援士」は民間資格であり、人間力認定協会の公式サイトからのみ申し込みが可能です。
現時点(2025年5月現在)では、通信講座大手のユーキャンやキャリカレでは取り扱われていません。インターネットで「児童発達支援士」と検索すると、公式ページが見つかりますので、そこから講座の申込み・学習・受験が可能です。
▼ 人間力認定協会 公式サイト
https://ninkyou.jp/hattatu-license(※実際のURLは検索でご確認ください)
学習はテキストと映像教材を中心に、在宅で完結できるため、仕事や家事と両立しながら資格取得を目指せます。
5・資格取得後に広がる可能性とキャリアへの影響
児童発達支援士の資格を取得してからというもの、子どもへの理解が深まり、関係性の築き方がガラッと変わりました。以前のように悩んだり、指導が伝わらなかったりする場面が格段に減ったと実感しています。
今までであれば、「なんで分かってくれないんだ!」「一体何をやろうとしているんだ」とストレスを感じるシーンでも、現在は子どもに寄り添った考えを持つことができるようになって、かける言葉の内容も大きく変わったと自覚しています。
子どもがやろうとしていること、伝えたいこと、困っていること、頑張ろうとしていることに目と耳をむけることができるようになりました。
資格は一つのきっかけにすぎませんが、学び続ける姿勢が何よりも大切です。今後も継続して知識を深め、支援の幅を広げていきたいと思っています。
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また、福祉施設・放課後等デイサービス・保育園・スポーツ教室など、子どもと関わる仕事の中では、専門資格を持っていることで評価され、給与アップや転職の際に有利になるケースもあります。
まとめ〜子どもと向き合う力を育てる一歩として〜
子どもと関わる仕事をしていると、日々の中で「どう接するのが正解なんだろう」と悩む瞬間が訪れます。特に、発達障害やグレーゾーン、ADHD、ASD、学習障害など、発達に特性のある子どもたちに向き合う場面では、一般的な指導や声かけがうまく届かず、戸惑いを感じる方も多いのではないでしょうか。
私自身、スポーツ指導の現場で同じような壁に何度もぶつかってきました。しかし、児童発達支援士としての学びを通じて、子どもたちの行動の背景を理解し、それに応じた対応の仕方が見えるようになったのです。

児童発達支援士の資格取得は、単に知識を得るだけでなく、「子どもを見る目」を育て直す経験でもありました。言葉のかけ方、環境の工夫、伝え方の順序など、少しの意識と準備で子どもたちの反応が大きく変わることを実感しています。そして何より、「理解しよう」とする姿勢は、子どもたちとの信頼関係を築く第一歩になります。
近年、発達障害や支援を必要とする子どもたちの数は増えています。それに伴い、学校・保育・福祉・スポーツなど、さまざまな現場で対応力が求められる時代です。民間資格である児童発達支援士は、その第一歩として非常に有効です。
もちろん、学びに終わりはありません。必要に応じて、子ども発達障がい支援実務士(ユーキャン)や子ども発達障害対応スペシャリスト(キャリカレ)などの講座で、さらに知識を深めていくのも一つの選択肢です。知識を積み重ねることで、より専門的な対応が可能になり、結果として仕事の幅や信頼にもつながっていくでしょう。
これから子どもたちと真剣に向き合っていきたいと思うすべての方に、児童発達支援士の学びをおすすめします。子どもたちが自分らしく成長できるよう、私たち大人の「理解しようとする力」が今、求められています。
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