「練習ではうまくいくのに、本番になると失敗してしまう…」
そんな経験、あなたにもありませんか?
スポーツ大会、入試、面接、発表会など、人生には“本番”と呼ばれる場面が何度も訪れます。そこで必ずついてくるのが「緊張」です。しかし、緊張を味方につければ、むしろ集中力が高まり、良いパフォーマンスにつながることもあるのです。
本記事では、長年、部活動の指導を通じて多くの選手たちの緊張と向き合ってきた筆者が、「緊張の正体とは何か?」「なぜ本番になると緊張するのか?」「どうすれば過緊張を防げるのか?」について、具体例とともに解説します。
実際の指導経験を通して導き出した緊張対策の方法は、スポーツだけでなく、学力試験や就職活動にも応用できます。この記事を読むことで、「緊張しても大丈夫」と思えるようになり、あなた自身の本当の力を出せるようになるはずです。

1.なぜ、あの子は本番で力を出せないのか?
「練習ではうまくいくのに、本番になると力が出せない…」
これは私が10年近く、部活動の現場で子どもたちを指導してきた中で、何度も耳にしてきた言葉です。
試合前に顔が真っ青になる子。
緊張で涙をこらえる子。
普段の練習では見せないような不安定な動きになる子。
そんな場面を、私は何度も見てきました。逆に、本番になるほど実力を発揮できる子もいます。この違いは、単に「メンタルが強いか弱いか」という問題ではありません。
本番で力を出せるかどうかは、緊張という自然な反応と、どう向き合ってきたかに大きく関係しています。

2.緊張に強い子・弱い子、その違いは?
試合前に真っ青になる選手
ある大会の日、控室でとても優秀な選手が、今にも泣きそうな顔で震えていました。
「頭が真っ白で、何も考えられないです…」
その選手は、普段の練習では高いパフォーマンスを見せるタイプでしたが、試合ではいつもの動きがまったくできず、実力の半分も出せないまま敗れてしまいました。
一方、落ち着いて力を出す選手
別の選手は、試合前も落ち着いた態度で、練習と同じように体を動かし、同じように礼をして試合に臨みました。結果、いつも通りの動きで勝ち上がることができました。
この違いは何だったのか?
それは、練習からどれだけ「本番」を意識していたかです。

3.緊張の正体とは?〜未経験×恐怖=過緊張〜
私自身の経験から言えるのは、緊張の正体は「未経験」による「恐怖」だということです。
人は、初めてのことに対しては不安を感じるものです。
脳は「予測できない出来事」に対して自動的に警戒モードを発動します。これが、緊張という状態です。
精神科医・樺沢紫苑先生も著書の中で、「緊張は脳が未知に反応しているだけであり、自然な生理反応である」と述べています。
ですから、緊張すること自体は悪いことではありません。
しかし、それが過度になってパフォーマンスに支障をきたすと、「過緊張」となり、結果に大きな影響を与えてしまいます。
この「過緊張」をどう防ぐかが、勝負どころなのです。

4.緊張に負けないための3つの実践法
緊張とうまく付き合い、本番で力を発揮するために、私が実際に教え子に指導してきた方法を紹介します。
4-1. 本番を忠実に再現する“シミュレーション練習”
緊張をやわらげる一番の方法は、「未知」を「既知」に変えることです。
私は練習の調整練習から、「試合と同じ流れ・動作・雰囲気」を再現させています。たとえば:
- 入場の仕方
- 礼の角度やタイミング
- 声の出し方
- 待機中の姿勢
など、本番と同じように動くことで、脳が「これは経験済み」と認識します。それによって、当日の緊張が大きくやわらぐのです。
4- 2. 大会当日の1日を“脳内リハーサル”する
大会当日、朝起きてから会場入り、アップ、試合、退場までの1日の流れを、頭の中で何度もシミュレーションするのも有効です。
真剣に、じっくり時間をかけて現実に忠実に脳内でイメージします。
実際に体を動かさなくても、「一度経験したことがある」と脳が感じることで、恐怖感はぐっと下がります。
これはスポーツに限らず、入試や面接前にも効果的です。
4- 3. 「緊張は悪じゃない」と受け入れるマインド
そして、何より大切なのは、「緊張することは悪くない」と知ることです。
少しの緊張は、集中力を高めてくれます。問題なのは、「緊張してはダメだ」と自分を追い詰めること。
「緊張している自分を受け入れる」だけで、気持ちがラクになります。
むしろ、「いま緊張しているってことは、自分がこの場を本気で大事に思っている証拠だ」と考えてみてください。
5.まとめ〜緊張は“敵”ではなく“味方”にできる
緊張とは、誰もが感じるごく自然な反応です。
そして、その正体は「未経験」に対する「恐怖」。
だからこそ、本番を想定した練習・イメージトレーニング・マインドセットの3つがあれば、「過緊張」を防ぐことができるのです。
私がこれまで見てきた選手たちも、この方法で緊張を乗り越え、力を発揮してきました。
試合、受験、発表、面接…。
どんな本番でも、準備と考え方次第で、あなたはきっと“いつも通りの自分”でいられます。
最後に伝えたいことは、
「緊張に勝つ」のではなく、「緊張とうまく付き合う」ことが、あなたの成長につながる。
ということです。
緊張を恐れず、緊張を受け入れて、あなたのベストを出してください。
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